クマザサ(熊笹)の効果と成分|論文をもとに解説
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※写真はイメージです
クマザサの葉は、お茶や抽出液、医薬品の原料として使われています。特定のササ属植物の抽出液を調べた研究では、炎症に関わる物質が減るなどの結果が出ています。何を使い、何が変わったのか。成分と3つの研究から見ていきます。
クマザサとは?葉に含まれる成分
クマザサは笹の仲間で、葉は古くから食べ物を包んだり、煎じて飲んだりするために使われてきました。現在は、葉をお茶にした食品のほか、成分を取り出した抽出液もあります。[1]
葉には緑色の色素である葉緑素(クロロフィル)、多糖体、リグニンなどが含まれます。[2] 多糖体は糖がいくつもつながった成分、リグニンは植物の細胞壁を構成する成分です。「クマザサエキス」という名前が同じでも、使う植物や抽出方法まで同じとは限りません。
今回取り上げるのは、主にSasa senanensisというササ属植物の葉をアルカリ性の条件で処理した抽出液の研究です。2011年の論文では、Sasa senanensisまたはSasa albo-marginata由来と記載されています。[3][4][5] お茶として煮出したものや、葉の粉末、他社のエキスとは区別して読む必要があります。
葉の抽出液を調べた研究では、何が分かった?
歯ぐき由来の細胞で、炎症に関わる物質が減った
2011年・細胞実験
人の歯ぐき由来の細胞を培養し、炎症反応を起こす刺激を加えた実験です。研究者は、葉のアルカリ抽出液を加えた場合に「IL-8」という物質がどれだけ作られるかを調べました。[3]
結果は、抽出液を加えるとIL-8の産生が減りました。IL-8は、炎症の起きている場所へ免疫細胞を呼び寄せる働きを持つ物質です。この実験では、炎症に関わる細胞からの信号が弱まったことになります。
48時間後の測定では、IL-8の産生を半分に抑える濃度は約246µg/mLでした。これは抽出液を凍結乾燥した粉末の、培養液中の濃度です。抽出物によって細胞の生存が低下する様子は、調べた範囲では見られませんでした。飲む量や、人の歯ぐきの症状が半分になることを示す数値ではありません。
出典:Onoらの論文(2011年) / 論文本文
別の細胞実験でも、炎症反応に関わる2つの物質が減った
2009年・細胞実験
マウス由来の免疫細胞に近い性質を持つ培養細胞を使い、細菌の成分で刺激した研究です。Sasa senanensisの葉のアルカリ抽出液を加えると、一酸化窒素(NO)とプロスタグランジンE2(PGE2)が作られる量が減りました。[4]
NOとPGE2は、体内でさまざまな役割を持ち、炎症反応にも関わる物質です。研究では、それらを作る酵素の発現も調べています。NOを作るiNOSの発現は抑えられ、PGE2に関わるCOX-2の発現抑制はそれより小さいものでした。
この結果から、著者らは抽出液に弱い抗炎症作用がある可能性を示しました。調べたのは刺激を加えた細胞の反応で、人が服用したときの痛みや腫れの変化ではありません。
出典:Zhouらの論文(2009年) / 論文本文
人での報告は、どこまで分かっている?
2012年・男性1人の経過を観察した報告
口の粘膜に白い網目状の病変がある男性に、Sasa senanensisの葉の抽出液を1日3回、11か月間投与し、経過を観察した報告があります。[5]
論文の抄録によると、白い網目状の線の面積が徐々に小さくなり、唾液中の炎症に関わる物質IL-6とIL-8も減りました。ただし、抽出液を使わなかった人との比較がない1人の記録です。抽出液による変化か、ほかの要因による変化かは、この報告だけでは判断できません。
細胞実験に加えて人での観察例もありますが、多くの人に同じ結果が出るかを確かめる比較試験とは異なります。対象となった口腔苔癬様異形成は、ササヘルスの承認された効能・効果には含まれません。[1]

クマザサ茶・抽出液・ササヘルスの違い
クマザサ茶
葉をお茶として飲む食品です。原料や加工方法、煮出し方などで、飲む液に含まれる成分は変わります。今回紹介したアルカリ抽出液の実験結果が、そのままお茶にも当てはまるわけではありません。
クマザサ抽出液・エキス
葉から成分を取り出したものを指します。「抽出液」という言葉だけでは、食品か医薬品かは分かりません。製品の区分、原材料、抽出方法をそれぞれ確認します。
ササヘルス
クマザサの葉の抽出液を成分とする第3類医薬品です。効能・効果は「疲労回復、食欲不振、口臭、体臭除去、口内炎」です。[1]
2011年の論文にはSASA-Healthの記載があり、試料は大和生物研究所が調製・提供しています。ただし、実験では抽出液を凍結乾燥し、培養細胞に加えて調べています。[3] 商品を人が飲んだときの効果を測った試験とは条件が異なります。
ササヘルスの効能・効果は添付文書で確認し、論文は抽出液の働きを理解する資料として読むと、両者を混同せずに整理できます。
選ぶときに確認したいこと
まず、手元の製品が食品か医薬品かを確認しましょう。食品なら原材料や摂取目安、医薬品なら効能・効果と用法・用量が確認の出発点になります。
上飯田薬局では、現在使っている薬や持病、利用したい目的を伺い、商品表示と合わせて確認します。相談の際は、商品名やパッケージの写真があると、どの製品についてのお話か確かめやすくなります。
ササヘルスは、過去に薬で発疹・発赤・かゆみなどが出た方は服用前の相談が必要です。また、しばらく服用しても症状がよくならない場合は使用を中止し、医師・薬剤師・登録販売者に相談してください。[1]
商品の表示を確認したい方は、ササヘルスの本数・お試しセットと商品情報をご覧ください。
生薬配合の医薬品を比較したい方は、松寿仙の成分・効能・使い方もご覧ください。今回のクマザサ抽出液の研究結果を、松寿仙の効果として当てはめるものではありません。
参考文献・資料
- 大和生物研究所. ササヘルス添付文書(2023年3月改訂). 添付文書PDF
- 大和生物研究所. ササヘルス製品解説「ササヘルスはどんな医薬品?」. メーカー公式資料
- Ono M, et al. Quest for anti-inflammatory substances using IL-1β-stimulated gingival fibroblasts. In Vivo. 2011;25(5):763–768. PMID: 21753131. PubMed
- Zhou L, et al. Effect of Sasa senanensis Rehder extract on NO and PGE2 production by activated mouse macrophage-like RAW264.7 cells. In Vivo. 2009;23(5):773–777. PMID: 19779114. PubMed
- Matsuta T, et al. Pilot clinical study of Sasa senanensis Rehder leaf extract treatment on lichenoid dysplasia. In Vivo. 2012;26(6):957–962. PMID: 23160678. PubMed
写真出典:冒頭のSasa senanensisの葉。撮影:Leonora (Ellie) Enking / Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0(表示範囲を調整)
資料確認日:2026年10月13日